未来の歯科医師たちの声 ~インタビュー特集~
こんにちは、社会福祉法人ろく舎です!
これまで北海道大学歯学部学生さんの実習受け入れプロジェクトについて、全体概要や実習内容をお届けしてきました。
今回は、実際に実習を体験した学生さんたちのインタビューをお届けします。
3名の学生さんがインタビューにご協力して下さいました!
未来の歯科医師たちが実践の場で何を感じ、どんな学びを得たのかをご紹介します。
Interview No.01 千葉さん レクリエーションと全身ケアの視点

*実習を終えてみて
とても貴重な体験でした。実習前は正直不安でいっぱいでした。考えてきたレクリエーションが利用者の皆さんに楽しんでいただけるか、コミュニケーションはうまく取れるのか。しかし実際に利用者の方々とお話しすると、皆さん笑顔で接してくださり、レクリエーションも予想以上に盛り上がりました。想像していた以上のやりがいを感じることができました。


*施設の環境や将来の展望について
施設内のデザインや空間づくりに感銘を受けました。お喋りサロンやトレーニング施設など、すべてに明確なコンセプトがあり、例えば食事の際にはカレーに合わせてインドの音楽を流すなど、細部まで配慮されていました。
私は将来、全身を見ることのできる歯科医師になりたいという目標を持っています。高齢者の方は何らかの全身疾患を抱えていることが多く、そういった方々に対応できる歯科医師を目指しています。歯周病と認知症の関係性など、口腔内の衛生状態が全身の健康状態に影響することは今非常に注目されています。口腔と栄養とリハビリが三位一体となってアプローチすることが極めて重要だと感じました。
Interview No.02 吉田さん 理論と実践の架け橋

*講義での学びと実習での体験の違いについて
大学では高齢者歯科や予防歯科、公衆衛生学などを講義で学んできましたが、今回の実習は教室で教わるのとはまた違った体験でした。実際に利用者の方々と触れ合い、食事の様子を観察することで、教科書だけでは得られない学びがありました。特に印象的だったのは、レクリエーション後に『楽しかった、また来てね』と握手してくださった利用者様の温かさです。そうした瞬間に立ち会えたことが大きな喜びでした。



*口腔ケアの観察について
口腔体操の実際の様子を見ることで、利用者さんの日常の取り組みへの理解が深まりました。また、食後のうがいの際に見られた食べ残しや、利用者さんによって異なる食べ方の特徴など、実際に観察することで多くの発見がありました。こうした経験から『自分が歯科医師になったらこのようなサポートをしたい』という具体的なイメージが湧いてきました。歯科医師として単に歯を治療するだけでなく、口腔全体の健康を守り、それを通じて患者さんの生活の質向上に貢献したいという思いがより強くなりました。
Interview No.03 角田さん 理論と実践の架け橋

*施設の印象について
実習前は高齢者施設に対して無機質なイメージを持っていましたが、実際に訪れてみると印象が大きく変わりました。カラオケルームやサロン、多くの利用者さんが活発に体を動かすトレーニングルームなど、想像以上に活気ある環境でした。自分の年齢でも楽しめると感じるほどで、この発見は私にとって大きな驚きでした。


*食事の様子について
治療した歯を使って実際に食事している場面を見る機会は中々ないので、貴重な経験になりました。食事の様子で特に気になったのは、多くの方がすする動作を苦手とされていることでした。麺類などを噛み切って食べる方が多く、ゆっくりと時間をかけて食事をされていました。ただ、入れ歯の使用に困難を感じている様子はあまり見られず、自分で取り外しも行い、全体としては食事をしっかりと摂取できているという印象を受けました。
未来の歯科医療を担う若者たち


今回のインタビューを通じて、実習が北大歯学部の学生さんたちにとって貴重な学びの機会となったことがよく伝わってきました。講義では得られない実践的な知識、利用者様との交流から生まれた気づき、そして将来の歯科医師としての自分像がより具体的になったようです。
特に印象的だったのは、単に口腔内の治療にとどまらず、全身の健康や生活の質向上まで視野に入れた歯科医療への志向性です。「三位一体」という言葉で表現されていた「口腔と栄養とリハビリ」の連携の重要性は、これからの高齢社会における歯科医療の方向性を示すものかもしれません。
今回の実習プロジェクトは、当法人にとっても、北大歯学部にとっても、そして何より未来の歯科医療を担う若者たちにとって、大きな価値のある取り組みとなりました。
【シリーズ記事一覧】
・第一弾|医療と福祉の架け橋 〜北海道大学歯科学部実習プロジェクト〜
・第二弾|現場で学ぶ口腔ケアの実践 〜実習の1日を振り返って〜
・第三弾|出会いの不思議、連鎖する人のご縁 ~プロジェクト実現への道のり~